わたしのカスピ海ヨーグルト(改訂版)
2017/05/20
 2016/06/27付け毎日新聞・朝刊の記事「インタビュー 最前線」は、フジッコの社長さんでした。
その中で、「カスピ海ヨーグルトの売り上げを早期に100億円に到達したい」とありましたが、
カスピ海ヨーグルトで100億円か、と正直なところ驚きました。
 今では、カスピ海ヨーグルトと言えばフジッコさんですが、もともとは巷で伝承的に作られていたものを
企業化したのがフジッコさんで、上手に商売を育てたものです。

 私もかれこれ20年近く、カスピ海ヨーグルトをつくっています。フジッコさんが商売を始める以前ですね。
カスピ海ヨーグルトの前は「ヨーグルトきのこ」をつくっていましたが、
飲む度に金網のザルで濾過する必要があり大変でした。
カスピ海ヨーグルトの種菌は大阪府立大学からいただいたもので、職場内でも頒布していました。

 さて、フジッコさんのHPをのぞくと、カスピ海ヨーグルトについていろんな情報が詳細に記載されています。
その中で、「粘りが不足し、原因究明のため昨年から今年にかけて一時期、生産を中止した」とありましたが、
技術者はその事態に遭遇して、きっと真っ青になったことでしょう。
 菌を植え継いでいくうちに、性質が変わることがあります。
例えば、醗酵産物の生産量が少なくなるや、栄養要求が変わることなどで、
そのために、いい状態のときの菌を冷蔵庫や超低温槽(-80℃)に保存しておきます。
そうした菌株がたくさん集まりますので、家系図みたいに系統立てて記録しておきます。
 おかしくなったら、これらの保存菌株を取り出して新たな種菌とします。

フジッコのHPには種菌の植え継ぎについて、
つくったヨーグルトの一部を次回のヨーグルトづくりに使うこと、
それは2回を限度に、それ以上は新たな粉末種菌を用いることを推奨しています。
でも、これって、カスピ海ヨーグルトを作っている限り延々と種菌を買うはめになってしまいます。
○○地獄ってありますが、これです。特定のサプリメントが、やめるにやめられないなど、ですね。
  わたしの作り方を紹介しましょう。″フジッコ″地獄からの脱出です。

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と、いう感じで、地獄からの脱出方法をアップしていたのですが、最近、情勢が変わってきました。
何が、と言えば、安価なカスピ海ヨーグルト向けのメーカーが出てきたことにより、工夫を重ねることなく、
カスピ海ヨーグルトが簡単に作れることになったからです。
 それと、今までの経験から言えば、雑菌にそれほど気を遣うことはないと思うのです。
だって、現地ではそんなに神経質にヨーグルトづくりしている訳ではなく、コンタミという歴史に耐えてきた菌です。
 
 可変の温度設定に対応しているヨーグルトメーカーは、昔は高かったですが、今では2,000円〜2,500円で手に入ります。もちろん高いものもあります。
 左の機種(東京企画販売、TKSM-019)で、現品限りで半額と安く、で自動的に電源オフになります。右(ヒロ・コーポレーション、HG-Y260)にはその機能はありませんが、性能は同じです。
どちらがいいのか・・。  
カスピ海ヨーグルトの作り方(改訂版
○ヨーグルトを沢山作ったら、保存菌として一部を小さな瓶(100ml程度)に入れて冷蔵庫で保存しておきます。
 保存菌は、半年毎に作りかえます。何かあったら、これが種菌になります。
○通常のヨーグルト作りには、100ml(100g)のヨーグルトを次回のために冷蔵庫で保存しておきます。
○種菌は、通常、1〜10%植えますので、1リットルの牛乳を使うとすると、100mlの種菌を使います。
 種菌が少ないと雑菌に負けてしまいますので、5〜10%と多い方がいいでしょう。
○「ガラス瓶は出来れば煮沸した方がいいでしょう」と多くが書いてありますが、
 ちゃんと洗っていれば、あまり気にすることはないです。
○「使うスプーンは熱湯で消毒する」と書いてありますが、
 これも面倒なので、スプーンをガスコンロの炎にあぶれば大丈夫です。
 微生物実験では、簡易的によくこうします。
○ヨーグルト菌の移植はガスコンロの側で行います(大気中に浮遊している雑菌が容器に入らないためにです)。
 換気扇は止めておきます。